2011年01月03日

岩岡中正「虚子と現代」

 筆者は、熊本大学教授で、専攻は政治思想史、特にイギリス・ロマン派。一方で、「ホトトギス」系の有力俳誌「阿蘇」主宰で、日本伝統俳句協会理事。

 岩岡氏の俳句も、論説もともに直球。氏の俳句は、実にロマンチック。その論説は、虚子を問うことの今日的意味を、脱近代の視点から論じている。

 虚子の「花鳥諷詠」を一つの「思想」として捉え、自然との関係を回復するためのヒント、人間関係の回復のひとつのモデルとして捉える点が、論の核心。

 虚子自身は、「花鳥諷詠」を「思想」として喧伝したわけではない。しかし、「花鳥諷詠」は、虚子のいう、俳句ある生活の理想であるから、そこから「思想」を引き出して何ら問題はない。というか、「思想」まで見出してこその「花鳥諷詠」なのだ、というのが、思想史家にして俳人の氏の真骨頂なのであろう。

 特に、興味深いのは、加藤楸邨のような、虚子を経由していない「人間探求派」を師系とする、森澄雄が、晩年、虚子の「花鳥諷詠」に傾斜していたことを指摘している点である。

 戦後長くあった、かつての虚子批判が影をひそめ、虚子再評価、虚子回帰が俳壇には明らかな潮流としてあるが、なかでも、森澄雄の場合、真摯に俳句に向かった結果であるだけに、本質的な問題だ。この方向から現代俳句を論じることは、波紋を生じるだろうが、より「直球」の課題と認識させられた。

 
posted by 雑食系 at 00:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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