2011年01月16日

山田ズーニー「あなたの話はなぜ「通じない」のか」

 入試の季節である。大学入試センターの出題は、評論では哲学の鷲田清一、古典では「保元物語」。後者は、軍記からもっと出題があってもいいと思っているから慶賀すべきこと。

 前者は文章のうまさ・話題のおもしろさから見て、当代随一の人ながら、一般的に言って学者の文章は、普通こうは面白くないから、この方の文章は、私にとって課題でもあった。同じ会社の選書を出しても、あちらは版を5回も重ねているのだから。

 秋成の資料を蔵するお方と話していて、文学研究の先生の文章は難しすぎる、と言われた。これを認めざるを得ないのは由々しき事だ。文にたずさわる者が、一般向けの文章を、他分野の人間より書けないとなったら、言い訳できない。

 鷲田の話は別の機会にするとして、今日はまず文章を書く前提の話を。文章を書くのが苦手な学生には、この本を紹介している。渡部泰明さんがあるところで紹介されていて、実際読んでみて感心してからである。

 コミュニケーションに関する本は、たいていテクニック論になる。本書はそうではない。伝えたい思いを伝えられず悩んでいる人間こそコミュニケーションが上手くなるチャンスのステージいるのだ。無暗に相手に合わせるだけでは、人間関係をあきらめたことになる。これが、筆者のコミュニケーションについての一貫した見方である。

 文章の上手い人は、たいてい話が上手い。伝える動機があり、そこに悩み、自分の手段を得ている。渡部さんもそうだし、このブログで取り上げたキャンベルさんもそうだ。聞くところ、外山滋比古や鷲田清一の授業は立て板に水で、話題も豊富と言う。何より彼らは、自分だけの伝えたいことを大切にしている。

 そういう意味で、本書は文章を書く前の心得として、絶対に読んでおくべき本だと思う。
posted by 雑食系 at 09:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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