2011年01月17日

梶原正昭「室町・戦国軍記の展望」

 梶原先生が早稲田から非常勤で母校にこられている時、こちらは就職したてで授業は受けなかったが、後輩たちの噂はすごかった。学生が泣くというのだ。特に「足摺」などはかなりのものだったと言う。

 早稲田を退任されると間もなく、この世を後にされた。その遺稿集である。何とも悔やまれてならないのが、「戦国軍記の展望」である。これを完成されることが目標だったが、それもかなわなかった。この稿は未定稿であるが、近世軍記に初めて見通しを開いた研究だった。

 先生が亡くなって数年経ってから、教え子の方と仕事をする機会があって伺うと、晩年「軍記文学」というご自分の概念だけでは足りないことを感じられ、近世軍記に関心を向けられたという。当時この分野を調べ始めた自分にとっては、この話に大変励まされた。

 軍記は量との戦いだから、時間との戦いでもある。先生が戦中派のゆえに、「平家」を選ばれたのはわかる気がする。「新書太閤記」を敗戦で中断せざるをえなかった吉川英治が、戦後「新平家物語」を書いたのと重なる。

 近世軍記を現代、研究する意味を問い続けることも、教えられた気がする。
posted by 雑食系 at 07:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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