2011年01月22日

堀切実「表現としての俳諧」

 今日は、角川「俳句」「短歌」の新年会。ふだん、誌上でのみ拝見したり、お世話になっている方とも話せる貴重な場だ。会費はかなり高価だが、それだけの意味のある人にとっては、高くはない。今日頂いた名刺の中には、有馬朗人元文部大臣もいらっしゃる。有馬先生の結社には、大屋さん・佐藤至子さんなど、近世の研究者で俳句をたしなむ方々もいる。

 研究者では、堀切実先生だけがお見えだった。俳諧の文体研究で、日本語学のそれまで成果を受け継ぎ発展させていて、後続の研究の先例となっているのが、標題書である。中でも、重要なのは、「T 芭蕉―連句」に収められた「蕉風連句文体論考」である。

 この論文は、発句に偏りがちな文体研究の弊を意識して、連句における文体研究こそ、俳文芸の文体研究の本質的課題ととらえ、山田孝雄をはじめとする国語学者の成果を援用しながら、提示態・省略・圧縮・倒置・配合・自他融合・切れなど、俳句独自の文体の由来が連句にあることを明らかにした点に功がある。

 それにとどまらず、この方法は、今後、蕉風俳諧以外の連句にも試みられることによって、俳文芸の文体史が確立してゆくだろう。また、俳文の研究においても、堀切先生が論考の最後で触れているように、俳文そのもの性格付けと、その雑多な種々相の実態を探る切り口として、機能するはずのものでもあることを強調しておきたい。

 なお、先生の門下からは、芭蕉の門人たちの作句理論を確認し、俳論用語の使用例を検証したうえで、その実作品までを分析し、中世歌論・連歌論から近世後期の蕉門系伝書に至るまでを見渡して、日本詩歌史のなかに蕉風俳論を位置づけた労作、永田英理『蕉風俳論の付合文芸史的研究』もある。

 
posted by 雑食系 at 00:44| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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