2011年02月03日

ブルゴワン「暦の歴史」

 創元社の「知の再発見双書」は、欧米史中心のシリーズなので、あまり縁がないが、この本だけは随分お世話になっている。

 時間をめぐる人間社会の歴史は、文明の本質の一面を持つから、暦をめぐる物語は、権力の歴史でもある。

 考えて見れば、人間の普通の生活からは、太陰暦が生まれるのは自然だが、太陽暦はよほどの欲求と文明の裏打ちがなければ生まれない。今騒乱状態のエジプトは、最先端の文明社会だった。

 やがて、暦は中国では天壇、ヨーロッパでは教会の管理下に置かれる。宗教が時間を管理したと言っていい。

 それが近代になると、フランスでは革命暦が生まれ、イギリスではグリニッジを中心に標準時が決められてゆく。金融・工場・鉄道輸送が時間を支配してゆくのだ。町の中心に時計台・時計店があるロンドン、クアラルンプール、銀座は近代の象徴だ。「遅刻」という観念もこのあたりから生まれる。

 さて、現代は衛星技術が時間を支配する。アメリカのスターウォーズ計画は、冷戦を終結させ、サテライト時代の時間の支配者を決めてゆく。何のことはない、天体の動きから暦を作った人間は、ついに天体そのものを作りだしたのだ。

 もはや後には、人間にとっての生きられた時間、癒しの時間の恢復だけが問題となってくるだろう。
posted by 雑食系 at 00:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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