2011年02月13日

西村和子「虚子の京都」

 著者は今を時めく俳人である。勉強家という意味では宇多喜代子氏と双璧だ。もちろん、宇多氏の方が先輩だが、お二人が仲がいい、というものよくわかる。この世代では男性社会だった俳壇で戦ってきた、というのがその言動から匂ってくる。

 さて、清崎敏郎の弟子だから、虚子の孫弟子にあたる。俳人の評論には、句の評に深いものがあっても、資料的な掘り下げが浅いものも多い。しかし、本書は本格的だ。巻末の虚子京遊年表と参考文献の充実ぶりを見れば、それははっきりする。

 私は京都出身だから、その意味でも楽しい本だった。虚子が愛した風景では、祇園と叡山が一番印象に残る。

   朧夜や一力を出る小提灯   虚子
   清浄な月を見にけり峯の寺  同

 虚子は、40代まで花街でよく遊んだ。色気のある句も多い。一方で、高野・鎌倉・比叡など名山・古都・古刹を愛し、行もした。この両面が都育ちの者にはしっくりくる。西村氏も京都に縁の深い方だ。本書はやはり土地に住んでみないとわからない物を醸し出す。と同時に、古典を愛し、句にもそれを生かす西村氏の感性も、この主題にぴったりだったに違いない。
posted by 雑食系 at 00:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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