2011年02月15日

松岡正剛「フラジャイル」

 「壊れもの注意!」という日本の貼り紙は、海外では「FRAGILE」と書かれる。文学や芸術の世界で、なぜこういう「弱さからの出発」に目をつけてこなかったのだろう。

 よほど我々は「弱さ」に後ろめたさを感じるらしい。政治・経済の世界ならともかく、文学が強がりを言うのはいいかげんやめにした方がいい。

 そんな当たり前のようで、そうでない、発想の逆転をこの本はもたらしてくれる。本書によれば、「弱さ」は「強さ」の欠如ではなく、それ自体特徴を持った劇的でピアニシモな現象ということになる。俳句などまさにそういう文芸だろう。本書でもよくこの文芸には言及がある。

 断片がかえって全体をおびやかし、完成しようとする意志や力に抵抗する、透明で微細な別の価値を持つ。松岡の最近の仕事は、通俗的か、荒すぎて、あまり感心しないが、本書は残る一冊だ。

 ちくま学芸文庫のラインナップは凄かった。今は売れなくて、この文庫すら一般向けにならざるを得ない現象を憂う。
posted by 雑食系 at 00:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。