2011年02月18日

西村睦子「「正月」のない歳時記」

 労作である。副題は「虚子が作った近代季語の枠組み」。虚子は「ホトトギス」で句の選を行いながら、新季語を立て、弟子を競わせ、俳壇を経営・制覇していった。

 その過程を歳時記を丹念に追い論証したから「労作」なのである。一番興味深いのは、大正期客観写生を大衆向けに説いているときは、太陽暦に従いながら、昭和に入って秋桜子らが反旗を翻すと、旧暦にもどして、「花鳥諷詠」を歳時記から実践していった。

 新季語の衣に、江戸以来の俳句の伝統をかぶせて、新興俳句に対抗したのだ。虚子の戦略の鋭さと、さりげなくそれを実行してゆく図太さが浮かび上がる。結果、新歳時記から「正月」は消えたのである。

 ただし、本書には大きな欠点がある。江戸の歳時記や季語の知識がないことである。ご本人も歯がたたないと正直に吐露されている。この角度からの再検討はどうも私自身の仕事になりそうだ。
posted by 雑食系 at 07:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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