2011年02月22日

ロナルド・トビ「「鎖国」という外交」

 外国人研究者の視点によって、はっとさせらることは多々ある。本書も、史料の細部を読み、検討していく「鎖国」型日本史研究・日本文学研究では、出てこない発想で勝負する切れ味の本だ。

 「鎖国」という言葉自体、当時来日したケンペルによって名付けられたもので、幕末日本の体制が動揺した際、日本語に翻訳された言葉である。本書はそこを出発点に、日本人はなぜ「鎖国」とは意識しなかったのか、という疑問から出発している。

 江戸時代を専門としない、30代、40代の若い歴史研究者でも、まだ「鎖国」という言葉が和製ではないことを知らない人が、けっこういるのに驚いた。タコツボ型の知識の固まる怖さを見せつけられた思いだった。

 そこで筆者の研究の出発点となる朝鮮通信使の問題が浮かび上がる。本書は、その善隣外交と国威発揚の両面を見出し、後者の認識が近代の大陸侵攻策につながってくることを論じている。また、表象からくる異国のイメージにも注目している点も、視点が「鎖国」型でない証拠だ。

 私は最近韓国の研究者と、討論する機会を得て、ようやくタコツボから少し脱した思いがある。本書はその時、私から紹介させてもらった。
posted by 雑食系 at 00:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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