2011年02月28日

速水敬二「ロゴスの研究」

 上野洋三氏が、東京にいるころ、この本を紹介して頂いた。著者は京大哲学京都学派の一人。このグループは戦前、海軍に協力し、大東亜戦争の正義についてブレーンとなったので、戦後は追放の対象になった人もいる。

 本書の刊行も昭和17年だが、時局に関する発言などほとんどない。それよりも本書は、「語ると聞く」「対話」「問いと答え」「一致」「表現社会」「書かれたロゴス」など文学、あるいはコミュニケーション原論ともいうべき、哲学的思索の言葉に満ち溢れている。

 特に忘れられがちな「聞く」という行為の重要性、語る=問う、聞く=答えるという本質性、書くことの社会的意義などなど、哲学用語の出る議論には苦労して読むことは遅々として進まないが、ふとした一語がいつまでも頭に残り、論文の議論の核になる。

 授業でも、知識を説明する以前に、この骨組みの部分を抑えて話を統一すると少しは整然とした議論をできて、反応も悪くない。本書のような現象学を現代に花開かさせたのが鷲田清一だということも見えてくる。
posted by 雑食系 at 09:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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