2011年03月11日

佐伯真一「戦場の精神史」

 著者は、私の見るところ、軍記研究の現役では最前線の人だと思う。平家注釈をライフワークにしながら、中世を超えた軍記の持つ問題領域への関心を失わない人だからだ。

 江戸の軍記などどという研究領域になっているのかどうかあやしい、茫漠たる対象を調べ出すと、随分佐伯氏の仕事のお世話になった。本書もまたその一つであり、最も一般向けに書かれたものでもある。

 副題は「武士道という幻影」帯文は「サムライは嘘つきだ。」本書を読めばわかるが二重の意味で嘘つきなのである。そもそも本来武士の世界にフェア・プレイ精神などない。「孫子」の冒頭に「兵は詭道なり」とあるように、謀略・虚偽当たり前なのだ。

 それが、いつからフェア・プレイ精神のように理解されるようになったのか。その芽生えに「葉隠」などが上がってくる。平時の武士は無用の存在だ。そこに倫理性が要求されてくる。近代になると「戦争の大義」が必要になってくるから、その中から使えるものを抜き出してくるのだ。

 もちろん、佐伯氏は昨日の小池氏の論に拠っている。
posted by 雑食系 at 10:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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