2011年03月16日

渡辺尚志「浅間山大噴火」

 縁起でもない話だが、卯年は歴史的な大地震が多い。安政の大地震も、天明の浅間山の大噴火も卯年なのだ。その天明の大噴火とその社会的影響を、当時の記録から丹念に掘り起こしたのが本書だ。

 石原都知事は、今回の地震は、我欲の強い日本人への天罰だと発言して物議をかもしているが、当時の人々の間では、この大噴火は天の戒めという解釈が拡がった、という。民衆の享楽主義や幕府の腐敗が天の怒りを招いたとする諸説を紹介されているのを読むと、人間の想像力は変わらないなと実感する。

 人間は偶然を偶然として受け取れない。何等かの根拠をもとめ、事件の意味をもとめる。偶然のままでは不気味で、不安になってしまうのだ。

 もうひとつ共通しそうなのは、地震の社会的影響である。浅間山の噴火は多量の土砂と、耕作地への甚大な被害をもたらした。これは小さな村のレベルでは対処できない規模であり、幕府や藩の財政的援助を要する。そこで村人と役人の間で様々な交渉が行われるのだが、その経緯を綿密に記述していて興味深い。

 この噴火は江戸の川に火山灰を降らせ、それが冷害や洪水を呼び、天明の大飢饉の要因ともなり、田沼政権は瓦解する。今回の地震は、日本にどういう変化をもたらすのだろうか。
posted by 雑食系 at 00:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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