2011年04月01日

鈴木健一編「鳥獣虫魚の文学史」

 実は4冊シリーズの第1巻である。「獣」の巻である。シリーズの副題は、「日本古典の自然観」。コンセプトは、冒頭鈴木さんが、平明かつ的確に書いている。このテーマには、二つの問題系、すなわち、神への回路=動物への畏怖と、人間の感情を増幅させる人の心の鏡の2点がある。

 まず、自然の中から動物に焦点を当てたことが、面白い。こういう視角は今までありそうでなかったし、多方面の関心を呼ぶ。人間観と自然観の両方を、動物ならば扱える。これが天体・地理・植物ではなかなかそうもいかない。人間観にまで及ばない。いい切り口だ。

 俳句には動物の季語があふれる。その関心から見て、このシリーズは大変興味深いし、勉強にもなる。よって、私にとって関心が高かったのは、「俳諧の猿」や「蕪村の狸と狐」である。やはり、獣は人間に近く、人の心の鏡の問題が中心となるようだ。

 鳥・虫・魚はそれぞれ人間の心の鏡であっても、花鳥風月の世界に近づく。こういう問題も後続の巻で触れられると面白い。絵との関連も問題になる。そこに配慮された構成になっているのも、心にくい。

 実は、私も「虫」の巻で、「蛇」のことを書く。だから、取り上げたということもないわけではないが、鈴木さんのコンセプトの立て方と、80名におよぶ執筆者の選定とテーマ設定という目配りの広さには、ほとほと感心させられた。
posted by 雑食系 at 00:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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