2011年04月11日

櫻井武次郎「俳諧から俳句へ」

 江戸俳諧の研究者はかつて、現代俳句に一家言あったり、俳人との付き合いがあったり、自分たちの研究している文学が、生きたものである、あるいはそれと地続きであることを意識していた。櫻井先生はそうではないのかなと思っていたが、そうではなかった。

 俳句は「芸能」なり。これが本書を一貫するテーマである。子規・虚子によって俳句は「文学」となったはずだが、そうではなかったということを、幕末から明治初期の俳諧を調べることで考えられた。

 作者と読者・俳号・流派・結社・切字・歳時記。。。子規・虚子からだけみれば「文学」のようにもみえるが、江戸から包括すれば、やはり俳句は「芸能」なのではないか。俳号ひとつとっても、本名を俳号にしてすら名字を記さないのはなぜか。そんなことからも、俳号の伝統は生きていると思われる。

 櫻井先生とは訪書旅行で、ご一緒させて頂き、近世文学会中、十指に入る人格者という印象がある。あの優しい微笑の奥のたゆまぬ探究心が、先生の遺言のように本書に結実していて、その面影をふりかえる。

 
posted by 雑食系 at 21:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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