2011年12月31日

吉盛智輝「但馬の殿様」

 本を何冊も出すうちに、色々な縁が出来てくる。本書の著者からは、私の仕事についてのオマージュとともに、ご質問を頂いた。

 著者は在野の地域史研究家だが、その域をはるかに超えた博捜で、但馬の大名と分家旗本の「殿様」の来歴を細大漏らさず紹介することを志したもので、大変勉強になった。

 序文にもあるように、殿様には立派な人物も多く、左より日本史学の大名=悪徳・無能史観への異議申し立てが、執筆の動機となっている。今の政治家や官僚の方がよっぽどひどいというわけだ。

 さて、私はと言えば、京極の分家旗本にして、江戸堂上派歌人高門のことを書いたので、丁重なお手紙を頂いたのだった。引っ越しで、まだご返事もできずにいる。

 京極家の子孫には、高浜虚子の高弟京極杞陽もいる。この人の伝記をまとめる最中亡くなった俳人の山田弘子さんからは急逝される数日前にお手紙を頂いていた。

 どうも一本の論文がつなぐ縁というものも、疎かにできないことが最近はわかってきた。来年はさらにどんな縁ができるのか。このブログの読者も含めた今年の縁に感謝し、来年の縁を楽しみにしたい。
posted by 雑食系 at 23:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月30日

放送禁止映像大全

 「太陽を盗んだ男」(1979)という映画をご存知だろうか?
 無名の物理高校教師が、東海村の原発からプルトニウムを盗み出し、自分のアパートで原爆を製造して、テロリストになる。

 といっても、目的が他愛ない。プロ野球中継を全部放送しろ、ローリングストーンズの日本公演を実現しろ。こんなもんである。ところが、原爆製造費ねん出のため、サラ金から借金していた犯人は、やむなく金を要求するようになる。。。

 この平和な日本のテロリストを沢田研二、対する警視庁の警部を菅原文太が演じた。映像もストーリーも俳優の演技も細かいところにこだわらず、ぶっちぎっている。監督の長谷川和彦は、たった二本撮っただけで、あとは麻雀に明け暮れる、室井滋の同居人となっているが、70年代後半は、映画界の星だった。

 映画の題の原案は「笑う原爆」。いくらなんでもこれでは配給の東宝が難色を示し、この題におちついたが、3.11以降、東京電力やそれを支えた政界・官僚・学者、そして原発の恩恵を受けていた我々こそが、「太陽を盗ん」でいたのだと実感される。今年を振り返っての実感だ。

 この映画の毒については、本書を参照されたい。文学研究でも、一度こういきわどい作品ばかり集めて論じたものをやってみたい、とかねがね目論んでいる。
posted by 雑食系 at 01:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

commmons: schola

実に3カ月ぶりの更新となる。

原稿締切、校正の嵐と、転居が重なって、
アウトプットできるコンテンツがなかった、
というより、取りかかる気分的余裕がなかった。
あいすみません。

引っ越しを終えて一週間あまり。
ようやく生活も落ち着いてきた。
表参道のステイショナリー+雑貨のお店で
標題のCD+書籍を発見。

坂本龍一が毎回ゲストを呼んで対談する音楽史解説番組の書籍化だ。
序文はこんな感じ。

インターネットの力で、クラッシックもロックもジャズもフラットに
同じ土俵で鑑賞されるようになった。
そんな時代に、音楽の歴史を文化史的ではなく、表現史的に振り返って
音楽の「古典」を独自に立てる試みをしたい―。

文学史も同じことが言えないか。
文化史に吸収されてしまう文学史ではなく、
当時異端であっても、今日に普遍的な輝きを持つ文学の魅力を
表現から掘り起こしていく。

近世小説も近代文学もライトノベルズもコミックもフラットに。
芭蕉も蕪村も子規も虚子も現代俳句もフラットに。
江戸の歌舞伎も浄瑠璃も近代歌舞伎も他の演劇もフラットに。

書物と選曲の編集どちらも隅々まで行き届いたスタイルの
産物に、8,500円×9点は高いと感じるか否か?
新しい文学史や思想史の構想に参加する欲望を持つ人なら
値段は問題にならないはずだ。
posted by 雑食系 at 23:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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