2011年02月26日

田尻裕一郎「江戸の思想史」

 今「江戸の文学史と思想史」をテーマにした本を書き、編集しつつあるので、非常にタイムリーな新刊書だった。筆者は、日本思想史研究の牙城、東北大学の出身。

 従来思想史は、徂徠や仁斎、宣長といった有名どころを取り上げてゆくやり方がスタンダードだったが、もはやそういう方法はとらないし、とれない。文学史が芭蕉・西鶴・蕪村・馬琴といった有名どころだけを取り上げる方法をとれなくなってきているのと同じだ。

 江戸に対する対し方も、近代の前提を江戸に見る旧来の姿勢から、江戸に即した見方に修正しつつある点も文学史と同じだ。

 章立ても「宗教と国家」「泰平の世の武士」「禅と儒教」「啓蒙と実学」「公論の形成」「民衆宗教の世界」など新しい、かつ文学研究にも関係深い章が立っている。

 著者は、思想史の基本に「人と人との繋がり」を挙げる。それは著者自身認めるようにその個性であると同時に、コミュニタリズムの時代の姿勢として、江戸思想史を生きた問題としようとしている。さて、文学史はこれにどう答えるべきか。
posted by 雑食系 at 00:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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