2011年06月04日

小澤實「万太郎の一句」

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり

夏なのに湯豆腐は失礼。しかし、俳人は「食」の俳句と言えば、たいていこの句を挙げる。
万太郎は食通である。実際亡くなるときは、赤貝の鮨を喉に詰まらせたとか。

その万太郎にして、晩年のこの句がある。万太郎は、女性関係・仕事関係・弟子との関係、かなり出入りのあった人だ。酒も女も食も、道楽をしつくした人である。

中国では「飲食男女」という言葉があるが、その世界に惑溺した文学の人である。それが最後に辿りつくのは「湯豆腐」だ。業の深さを「いのちのはての」とするところ、芝居がかったこの言い回しを私はあまり好かないが、一般にはうける。俳句まで演劇人だった。

また、病人の句に「食」の名句は多い。子規しかり波郷しかり。そういう面からも、この句は食の句の性格を象徴している。

 この恋よおもひきるべきさくらんぼ
 ラムネ飲めどおはぐろ溝の今はなく
 もち古りし夫婦の箸や冷奴
posted by 雑食系 at 09:23| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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